原因不明の足のかゆみ

水虫?アレルギー?破傷風??

2015年の夏、原因不明の異常な足のかゆみに襲われた事があります。

原因不明といっても、思い起こせば、シンガポールで安く買ったサンダルの飾り部分が足指の付け根に当たって、擦り傷を作ってしまった事がありました。

その擦り傷を、「放っておけば治るだろう」と軽く考え、放置してしまった事が良くなかったのかも、しれません。

傷のことは忘れたまま、日本に一時帰国し、パンプスを履いて炎天下のお墓参りをし、足がムレた事も良くなかったのかも、しれません。

ばい菌が入って…ということも十分考えられます。

しかし、突如、激しいかゆみが起こったのは、右足の甲でした。傷のある足指の付け根ではなかったのです。足の甲は、かゆみが起こった時には見た目なんともなく、キレイな状態でした。

そして、右足の甲を掻きむしると、かゆみが足指にまで広がっていったのでした。

かゆみに怯える軽井沢旅行

軽井沢を旅行中でした。

映画「カルメン故郷に帰る」で知られる北軽井沢。幼稚園の娘と夫と私の家族3人、牧場の広大な敷地を歩いていて、涼しい風と豊かに広がる緑に癒されていたのですが…

スニーカーの中で、右足の甲が…

猛烈にかゆい!!

耐え難いかゆさ!!

家族の前で取り繕いながらも、おみやげ物屋のトイレに駆け込み、スニーカーと靴下を剥ぎ取ると、手を洗う洗面台に足をかけて、石鹸で掻きむしるように洗いまくりました。

冷たい水をしばらくかけて足の感覚をなくすと、一時的に痒みは和らぎました。

そして、じわじわと靴の中でぶり返す痒みに怯えながら、牧場内の敷地を歩きました。広大にひろがる丘を越えて、また…

足がどうしょうもなく、かゆい!!我慢できない痒さ!!

牧場のそばにあったトイレを見付けると、駆け込んで洗面台に足をかけ、また石鹸を泡だてて掻きむしるように洗いました。

「つほーーっ!!」と、思わず声が出てしまったほどの快感でした。

かゆみもそれを掻きむしる快感も、両方とも今までに経験のないレベルのものだったかもしれません(汗)

そして夕方、立ち寄った由緒正しい某有名ホテルのロビーでも…。ここで来たら嫌だなー…と思ったらキターー!!もう、どうしょうもないんですよ。掻きむしるか、冷水で麻痺させるかの二択。綺麗なトイレで、手洗い用の洗面台に足をかけるのはすごく恥ずかしかったのですが…人が入って来たら、目線を下げて足をおろし…背に腹は変えられない状況でした(恥)

かゆみに怯えるその②軽井沢から大阪へ

悪いことにその年の旅行プランでは、軽井沢から直接、大阪を旅行することになっていました。さらに悪いことに、お盆の真っ只中。病院が開いていないであろう中での強行軍でした。

大阪は、シンガポールの前に7年も住んでいたゆかりの地でした。夫も私もそれぞれに知り合いが多かったので、夫は単独で人と会い、私と娘はママ友やお友達関係に会ったりと、別行動が多くなりました。

娘を連れて大阪の街を歩いている時も、ぶり返すかゆみに怯える私…

夜、ホテルの部屋で、私の足の甲を見て、夫が目を見開きました。

こんもりと真っ赤に腫れ上がって、小さな水泡もできています

「何でほっといたんだっ!!」と叱りながら、ネットで調べる夫。そして、たくさんの画像を見せながら「これは破傷風だよっ!!」と言い放ちました。

いや、破傷風って、熱が出たりもするんだよね?

ともかく、お盆でも受診できそうな皮膚科を探したところ、ラッキーなことに、前に住んでいた近くの皮膚科が営業していました。8月13日でした。

サバサバとした女性医師。

「シンガポールで、サンダルで指に擦り傷ができたんですけど、足の甲に異常なかゆみが起こって、腫れてしまって…主人は破傷風じゃないかって言うんですけど…」「いえ、破傷風ではないですね(笑)」

この数日間、かゆみが出るたびに洗いまくったので、すでに足指の間はふやけきって、白くなっています。皮膚の組織の一部をピンセットで取って、水虫の検査もしました。娘にうつっているといけないので、一緒にいた娘も検査。しかし、2人とも水虫菌は検出されず…

足の甲の腫れにはアンテベート軟膏というステロイド外用薬、足指にはゲンタマイシン硫酸鉛軟膏という殺菌作用のある抗生物質のクリームを出してもらいました。

すがる思いで、それらのクリームを塗り、かゆみに耐えながらマッサージしました。しかし、その晩も、震えがくるほどにかゆみはぶり返したのでした…。

突然、治まったかゆみ

8月14日。かゆみがおさまらないので、再度クリニックへ。

結局のところ、原因不明。

精神的なものもあるでしょう、とのことで、かゆみが気にならなくなるという内服薬を3日分出してもらいました。オロパタジン塩酸塩錠という錠剤で、湿疹やかゆみ、鼻の炎症などのアレルギー症状を改善する、とあります。

その錠剤をすぐに飲み、ママ友の集まりへ。

いつ、かゆみがぶり返すのか…

懐かしい顔ぶれに話に花が咲くも、時折不安が襲います。しかし…

それ以降、ピッタリと異常なかゆみは治まったのです。

本当に不思議なほどで、嘘のようでした(驚)

搔きむしらなくなったので、足の甲の腫れも徐々にひいて、治っていきました。

前日に出してもらった軟膏との相乗効果もあったのかもしれませんが、本当に即効性がありました。

あの異常なかゆみはなんだったのか…

しかし、いまにして思えばですが、長引く鼻炎やストレスによって体のあちこち、血液の状態などが、なんらか病気にかかりやすい状態になっていたのだろうなぁと思います。

足が治ったのは良いけれど@シンガポール

足の見た目がほぼ治って、一安心です。

しかし身体はなんとなくだるく、調子がすぐれません。背中や腰の筋肉痛がひどく、どうも疲れが取れない状態が続きました。

そうこうしているうちに、また足がどうも怪しく、かゆみがぶり返しかけて来ました。

帰国前に受診した日系病院を受診すると、先生も心配してくださっていて、私の足を見るや「えーーっキレイになったねーー!!」と驚き、喜んでくださいました。

日本で処方してもらったステロイドの塗り薬が切れてしまったと話すと、同じものは処方できないようで、 以前と同じFUSIDICという塗り薬を出してもらいました。ですが、これがやはりどうにも効かず…。

アレルギーの薬は出してもらったものの、身体はいよいよだるく、座っていても腰や背中が辛いほどでした。そして、外出先などでムレると足も怪しくなって来て、かゆみの再発に怯えていました。

ここで、私には余ったステロイドの内服薬がありました。

そうです、日本で通院した時、5錠のところを間違えて1錠だけ飲んでいたので、余りがだいぶあったのです。

なので、かゆみのぶり返しや全体的な体調の悪さを抑えるために、数日間、朝一錠を飲んだり、飲まなかったりしました。

そして数日後のある朝。大変なことが起こってしまいました

朝起きて、まず眠気を飛ばすために、オレンジジュースを飲みました。私は柑橘類が大好きで、朝のオレンジジュースは定番でした。

そして、筋肉痛から、うっすら頭痛がしていた私は、鎮痛剤を飲みました。市販薬の、ルルアタックEXです。頭痛持ちの夫がよく日本で爆買いしてくるので、我が家は薬屋が出来そうなくらいにストックが常備されていました。

そして、ステロイドを1錠、飲みました。

そして、程なくして、なんか、胃に違和感がありました。

胃のみぞおち辺りが痛くなり、さらには吐き気がして来て、トイレに行き…。オレンジジュースをザバーっ…。当然、ステロイドも吐いてしまいました。

今思えば、これが、その後に起こる全てのことの「ダメ押しのスタートボタン」だったかもしれません。これを皮切りに、不気味な「胃痛」が始まり、右のみぞおち辺りに鈍痛、さらには胃の裏側、背中の筋肉痛も激しくなり、どうにもならない体の倦怠感との戦いになりました。

翌日、日系病院へ行くと、「基本的には、ステロイドと頭痛薬の飲み合わせのためでしょう」と言われ、胃薬と、「優しい鎮痛剤」を出してもらいました。

しかし、食後の胃痛はそれ以降は慢性化し、筋肉痛や倦怠感も激しくなり、体調はますます悪くなっていきました。

しかも間の悪いことに、ちょうどその数日後、自宅のあるコンドミニアムで、娘の幼稚園の先生やクラスメート、お母さん達を招いたパーティをすることとなっており、準備の真っ最中だったのです。

本当に、この時ほど気持ちに体がついていかない時はありませんでしたが、集まってくださる先生やお母さん方、楽しみにしている子供たちに申し訳がない、という一心で、何とか取り繕おうとしました。一緒に準備を進めていた相方にだけは、体調が悪いと言うことは伝えましたが、その時点では自分自身も、自分の体で何が起こっているのが、見当もつかなかったのです。

身体がしんどいながらも、一緒に準備していた友人をはじめ、夫、先生や他のお母さん達に尽力してもらい、楽しい会となり無事にパーティーは終わりました。なんとかその日を乗り切ることが出来た時は、達成感に全てが報われる思いでした。

しかしその夜、全ての力が抜けてベッドに身を投げ出した時に、異変は起こりました。右の太ももの内側が痒いのです。見ると、バーっと赤い発疹が出ていました。

蕁麻疹のような赤い発疹は、急いで水シャワーで洗い流し、掻かずに様子を見ていたら、だんだんおさまって来ました。

気持ち的にも少し落ち着いて来た翌日の夜、娘と一緒に夜9時ごろ就寝。

夜中に目が覚めた時でした。

夫が、私を見て「どうした?!」と目を見開き、驚いています。

トイレに行って、鏡を見ると…

「あれっ?!」

こめかみに、コブが…

血管がボコッと浮き出たように、左のこめかみの、おでこに近いところに、1.5センチくらいのコブのようなものが飛び出していたのです。

触って押すと、ペコペコと引っ込みます…(怯)

痛くも何ともないだけに、不気味でした。動揺しながら、急いで保冷剤をハンカチで包んだものを押し当てて、じっとしていました。

しばらく経って、恐る恐る鏡を見ると、コブは何事もなかったかのように引っ込んでいました。

一体何だったんだろう…。

コブが出現したのは、それが最初で最後でした。

ただ、何とも言えない不気味な、何かが、自分の身体の中に潜んでいる…という不安が、じわじわと募っていきました。

発症の判明する、数日前のことでした…。

足が治ったのは良いけれど@日本

そして、羽田空港に到着しました。包帯の中で、いつ起こるとも分からない激しいかゆみの発作に怯えながら、7歳の娘を連れて空港に降りたちました。

しかし、7時間に及ぶフライトの後で、ただでさえパンパンにむくんでいる足…

ほどなく、「ああああ!!!」と、激しいかゆみに襲われて、娘を連れてトイレに駆け込みました。

何とか実家の最寄駅にたどり着くと、迎えに来てくれていた母が手を降っていました。

「元気そうで良かった!」

「いや…実はね…」

こそっと、ぐるぐる巻きの足を指差すと、言葉を失う母。

すぐに近くの皮膚科を受診しました。

包帯を取って、パンパンに浮腫んだ私の足が露わになると、先生も、看護師さんも「これは…」とドン引き状態です。しかも、あちこちに水疱&水疱痕があります。

シンガポールで受診した際に蜂窩織炎(ほうかしきえん)だろうと言われたという話をし、すぐに血液検査をしました。

ステロイドの配合された塗り薬を処方され、足全体に塗ってもらいました。

「横に、横に伸ばして塗っていくと、浸透しますからね〜」と、パンパンに腫れ上がった足に優しく塗ってくださる看護師さん。その塗り方は、その後も意識して続けるようにしました。そうやって一言、アドバイスもらえるってありがたいですね。

さらに、ステロイドの内服薬を処方してもらいました。

薬局で、「ステロイドは朝一回ですが、今日の分は今この場でお飲みください」と言われ、1錠飲みました。

そして、翌朝も1錠飲みました。

しかし!!私はここで、とんでもない勘違い、失敗をおかしてしまっていたのです!!

気づいたのは、次の受診となる3日後でした。

ステロイドを朝1錠飲み、足は、ステロイドの塗り薬をたっぷりと塗っていたのが、みるみる効いて、ぐんぐんと腫れがおさまり、かゆみも無くなって来ました。

症状が治まって来たのに喜びつつ、「ステロイドが余ってるなぁ」と、ふと処方箋を見ると…

「朝一回 5錠」と書いてあります…

(血の気の引く音…)

しかし、素知らぬ顔をして受診してしまう私。

すると先生は、私の足を見て、

「えーーっ!!キレイになったねーー!」と喜んでくださっています。

良くなったのだからまぁいいのかしら…と、正直に薬の量を間違えた話が出来ず、診察を終えました。今度はステロイド内服は2錠に減り、塗り薬は継続です。

そうして、2週間ほどの間にステロイド内服も2錠→1錠→なし というように、順調に減らしていきました。塗り薬は朝晩塗って、包帯サポーターを履いていましたが、酷いむくみ、かゆみから解放され、ストレスもありません。先生からも「もうこれで大丈夫だね」と言われるまでになりました。

そして、シンガポールに戻る日になりました。

続きます…