結婚したのは、21世紀がスタートした年の七夕でした。
その頃は夫のアメリカ留学を控え、私も仕事を辞め、春から夏にかけて語学学校に通っていました。
つまり、二人とも無収入になったわけです。
七夕の夜、夫と待ち合わせをして、区役所に届けを出しに行ったのを覚えています(時間外手続きだったんでしょうかね?)本当に、人の少なくなった薄暗い役所で、ただ職員さんに紙を渡しただけでした。
その後、渡米までに家族同士での会食はしましたが、結婚式は挙げませんでした。
ウェディングドレスも白無垢も着ず、写真撮影やら指輪の交換も、結局何もせず。
でも正直、プレッシャーと向き合わずに済む事にほっとしていました。
月日は流れ、子供が幼稚園の頃「なんで結婚指輪してないの?」とママ友に指摘されたことがあって、実は結婚式をあげなかった事、指輪の交換もしてない事を話したところ、「それってかなり変わってるよ笑」と言われたことあります。
うちの夫はジュエリーのことなど何も分かりません。そして自分が分からない、興味のないことについて考えることなど絶対にない人です。結婚するから、お店に行って指輪を買おうなんて発想も、彼にはないと思います。(そういう男性って割と多いんじゃないですかね?)
私も女としてはそういうのに疎い方なので、夫を引っ張ってまで指輪作りに行くという発想は、正直なかったんですね。
しかも、これからアメリカ留学+新生活が始まろうとしていて、貯金を切り崩しての生活が始まろうとしていたので、その頃の頭の中は、「いかに節約するか」と「そもそも英語大丈夫か」でいっぱいでした。
そして渡米後、通っていた英語のクラスで、中国人の奥さん(同年代)に「なんで結婚してるのに指輪をつけないの?他の男があなたを見てシングルだと思うでしょ?安物でもなんでもいいから、とにかく買いなさい」と言われました。そういう彼女は見事なダイヤモンドの指輪をしていました。
そうか、やっぱりつけたほうがいいのかなぁと思っていたところ、しばらくして、雑貨屋さんで、8ドルくらいのシンプルなペア指輪を見かけ、思わず即買い。
でも、結局、指に終始はめているのが苦手で、ろくに付けないままにバスルームで錆びて、そのうちどっか行っちゃいました…
さすがにおもちゃみたいな安物はダメですね…(これぞ安物買いの銭失い!)
ところで、日本人はいつから、結婚指輪とか婚約指輪とかつけるのが普通になったんでしょうね。
富裕層は明治大正期から?庶民に広がったのは戦後、昭和半ばくらいでしょうかね?
と、思って調べたら、なんと大正期には慣習になってるんですね!驚
ちなみに昭和の半ば頃から広まったのは「婚約指輪」でした。
でも、伝統じゃないし、今も義務じゃないんですよね。結婚してる人は指輪持つべし、って法律で決まってるわけでもないし、宗教でもないのに、結婚したら「普通はみんな持ってる」なんて、私にとっては不思議な慣習です。
男性がプロポーズに使ったりとか、既婚を形で示せる「しるし」なんでしょうけど…
絵的にもイベント的にもいい感じなので、クリスマスやバレンタインが一気に流行ったのと根元は同じではないかと。
そう、「指輪」って、圧倒的にイメージが良く、憧れる人多いんですよね。
もちろん、それで良いと思うのですが、「それが普通」っていうのが浸透してる前提で、それでも、持ってないとおかしい、変わり者、って言われるほどのことかなぁ?って。些細なことですが、これも同調圧力だよなぁと。ただ、中国人奥さんの言う「独身だと間違われる」リスクも一理ありますね。
(まぁ若いうちは面倒臭いこともあるかもしれませんが、私の場合、とりあえず平穏に過ごしてきました)
結論として、うちの場合は、今後も結婚指輪を買わないと思います。
一度安物で失敗しているので想像できますが、きちんとしたものを買っても結局身に付けないでしょう。
夫からの贈り物は、セラミックの歯と、アップルウォッチで充分です。両方、肌身離さず身に付けており、義歯は多分死ぬまで身に付けることになるでしょう笑
ミニマリストの方々は、どうしてるんだろう。今の時代、自分で必要ないと思えば、結婚指輪も婚約指輪も、持たない人が多いかもしれませんね。
ところで。
確かに、こんな私でも子どもの頃は憧れでした。「ゆびわ」
母の宝石箱をうっとり眺めたり、おもちゃの指輪をつけてお姫様気分になったり。
もう40年以上も前、グリコのおまけで、赤いルビーの、ちょっとリアルな指輪のおもちゃが付いていたことがありました。これが子どもの目には本物そっくりの指輪で、信じられない、これは一生の宝物にする!!と興奮しまして。
でも、なぜかその日のうちに部屋で紛失…
どうしても見つからなくて。すごく悔しくて、悲しかったのを覚えてます。
どこにあったんだろう。って、今でも時々、考えます。
今日は指輪のお話でした。