白血病?膠原病?ステロイド治療、始まる②

ステロイド治療、始まる

帰りのタクシーの中から、娘を預かってもらっていたママ友に連絡すると、「まだ夢中で遊んでいるので…。夕方まで預からせて下さい」と…(涙)ありがたく、お言葉に甘えさせてもらいました。

そして、帰宅すると同時に、軽めに食べて、早速ステロイド20mgを一錠、飲みました。そして、ソファーに倒れこみました。

食料品の共同購入をしている友達が、我が家の分を届けに来てくれて、白血球に異常値が出たことを話すと、「白血病じゃないよね?」と泣きそうな顔をして心配してくれました。

病気になったことを拡散して欲しい

先の友人から、「ほうじ茶ラテちゃんの病状を、心配だったので〇〇さんと〇〇さんには相談したけど、他の人には絶対に話さないからね!」とメールが来ました。

いやいや、むしろ、私のこの状態を、知り合いの日本人全員に拡散して欲しいとすら思う心境でしたので、「むしろ拡散して欲しい」と話しました。

「話さないからね」「いやむしろ…」このようなやりとりは、他の人ともありました。また、これは後の話になりますが、日本に帰国してからも、身内は「出来ることなら身内に留めて、他の人には知られたくない」と言う考えでした。

しかし、病気になったこと自体は、自分の責任ではないといいますか、「悪い事をしたわけではない」と言う意味で、私の頭の中では「隠したい事ではない」と言う考えがありました。

また、日本人コミュニティは、たくさんのボランティア精神というか、助け合いの中で成り立っています。その中で、自分に免罪符がないと、後ろめたさやこう思われているんじゃないか、という思いに悩まされることになります。それくらいなら、むしろ「私はこういう病状で、色々な活動をしたくても出来ません」と、はっきり宣言して、周りに理解してもらう事が大事だと思うのです。

「ステロイドは魔法の薬」

娘はママ友のお宅で、ご厚意で夕食までご馳走になって、夜が更けてから送ってもらって帰って来ました。その頃には、全身の疲労感で立っているのがやっとでした。

状況を聞いたいろんな友達が心配して、「入院しなよ!」とメールをくれましたが、返信もできないまま、夜の分のステロイド20mgを一錠飲んで就寝しました。

そして、朝…。

「え?」身体がウソのように軽い

寝ていても痛かった腕や背中の痛みもありません

疲労感がおさまり、足のむくみやまだら模様もスッキリとしていました。

まさに、魔法にかかったよう。一夜にして症状を劇的に改善する、ステロイドの威力に驚きながらも、本当に救われた!!という思いでした。

歩けば、ふくらはぎの疲労感が若干残ってはいるものの、昨日までの辛さとは雲泥の差。本当に長年の束縛から解放されたようで、喜びと感謝でいっぱいでした。

こうして一週間、ステロイド朝晩20mg、1日トータル40㎎を飲み続け、体調はうなぎのぼりに回復しました。

白血病?膠原病?ステロイド治療始まる

肺、血管、リウマチの合併症

クリニックの待合室に入ると、日系病院から派遣されてきた通訳の女性Lさんが、すでに待っていました。Lさんはシンガポーリアンですが、日本語(医療用語)ペラペラです。

Lさんと診察室に入って行くと、お馴染みのTing先生がいました。

Ting先生は相変わらず、直接私を診ようとはしません。立派な机の向こう側から色々と質問をされます。

これまでの長い経過を、Lさんを通して説明しました。前回の私の英語力では伝えられてなかったので…(苦笑)足が痒くなり、腫れて水疱ができて、治ったら身体がだるくなり、胃痛がおこり、全身の筋肉が痛くなり、噛むとあごが痛くなり…

そして、別室で血液検査を受けて再び診察室へ。

気管支喘息にかかったことある?」「はい」

他に、今までかかった病気などについて聞かれ、去年ウィルス性心膜炎にかかったことなども話しました。

そして、血液検査の結果を見ながら、肺、血管、リウマチの合併症だといわれました。

肺、血管、リウマチの合併症…なんじゃそりゃ〜!!

入院したいですか?」

入院…。

身体がしんどいから、このまま、入院出来るものならしたいけど、娘はまだ小学一年生。

家に帰って色々準備や人にお願いする手配して…って考えると、かえって労力がかかりそう…。

「ええと、出来れば、家で…」(でもホントは2、3日入院したい…)

ああそう、と言う感じで、ステロイドの錠剤を朝晩20mgずつ、1日40mgを処方され、次は1週間後に来て、と言われました。

帰り際、通訳のLさんに、「また次回も来てくれよ。彼女(私)だけだと、スマホの翻訳アプリの見せ合いになるからね。笑」と言っている先生…

ちょっとイラっとくる(笑)

そして会計を済ませてクリニックを出る時、Lさんはコソッと、私に言いました。「先生が一番心配されてるのは膠原病です」

こうげんびょう?聞いたことはあるけど…

「まぁ今のところ多分、そこまでではナイ…と思うんですけど」

ふと、私の足元に目をやったLさんは、びっくりして目を見開き、口を押さえて、

「ほうじ茶ラテさん!!足、どうしたですか!!」

と叫びました。

私の足は浮腫んで、赤紫色にまだらになっています。

でも、これがいつものことなんです…

「少し歩くと、こうなってしまうんです。」

先生、ちゃんと診てくれないんだもん…(心の声)

「ほうじ茶ラテさん…、」

しばしの沈黙の後、Lさんは言いました。

「あんまり、運動とかはしない方がいいですよ」

はい…。出来ません(笑)

 

血液検査で白血球に異常値、40000超え…(後編)

翌日の9月8日の朝でした。その日も子供達を送り出した後、同じ棟の看護師 Iちゃんが様子を見に寄ってくれました。

Iちゃん「連絡あった?」

私「まだ無いんだよね…」

Iちゃん「今、ここで電話して。今日そこで診てもらえないなら、これから一緒に日系病院に行こう」

そしてTing先生にTEL…

私「血液検査の結果を伺いたいのですが、今日伺っても良いですか?」

Ting先生「あー…紹介してくれた日系のドクターと相談してからと思って…あなた、皮膚科系でもなんかあったでしょ」

私「今日、日系病院に行こうと思うので、またお電話します」

そして、Iちゃんと私はタクシーに乗り込み、華やかな都心オーチャードのビルにある日系病院へと向かいました。

診察室にも一緒に入り、先生に、「私は看護師なのですが…」と私の状況を説明してくれるIちゃん。先生も、「あれから、ここの先生達みんなにほうじ茶ラテさんの病状話して聞いてるんだけど、みんなそんな症状、診た経験ないって言うんだよねぇ…」私の病状を心配してくれていて、親身になってくださいました。

まず血液検査をしました。検査の結果が出るまでの間は、小一時間ほど待合室で待ちます。

Iちゃんと久しぶりに長い話をしました。思えば、来星以来の長い付き合いで、しかも同じ棟でしたが、二人で話をするのは滅多に無いことでした。子供の学年も一緒ではなく、お互いの家を頻繁に行き来するようなこともなく、それでも、こんな時に全身全霊で助けてくれるIちゃんは、なんと言う類まれな、素晴らしい人なんだろうと改めて思います。

検査の結果が出て、診察室に呼ばれました。入って行くと、先生の顔が、ただ事ではなく青ざめています。結果は…

白血球42400…

3日前の28400から、さらに倍増していたのです。

「こんな数字、見た事ない…」先生も困惑し、青ざめて言葉を失っています。何か思いつめたように早足で部屋を出入りすると、すぐ戻ってきて「午後空いてる?」「はい、子供のお迎えがあるけどなんとかします」「よし、Ting先生の予約取れたから行ってきて!」すぐに電話で血液内科のTing先生に電話してくださっていて、さらには通訳の手配もしてくださいました。

いや〜〜良かった!!と、安堵した表情になる先生とIちゃん。

Iちゃん「これで、ステロイド治療が始まるんでしょうね」

先生「多分そうなるだろうね。いや〜良かった」

親身になって喜んでくれる二人に、本当にありがたさで恐縮でした。

タクシーで先に帰るIちゃんを見送ってから、ビル内でランチを済ませ、再び隣のビルのTing先生の元へと向かいました。

綺麗なショッピングモールの広さも、道路を渡って隣のビルに移動するわずかな道のりも、本当に長く辛く感じられるほど、足は浮腫み、ふくらはぎは張り、疲労感が激しく襲いました。

そうして、この日から1日40mgのステロイド治療が始まることとなります。