ステロイドを半分に減薬した結果…

体調は横ばい、徐々に不安が広がる…

ステロイドの量を半分に減らされて、元看護師のIちゃんは、「そんなに急に減らしていいものなのか…」と心配そうでした。

1週間後、娘の小学校の運動会があり、なんとか見に行く事が出来ました。

娘のバス停までの送り迎えも、他のお母さんたちの厚意に甘えていたので、病院以外で外出したのは久しぶりでした。

色んな人に久しぶりに会って、見に来られてよかったね!と言われました。

その後も体調が、どんどん良くなっている気もしないけど、かと言って特に悪くなってもいない…。そんな日が続きました。

元看護師のIちゃんには、

ステロイドが効いていれば、もっとどんどん良くなっていいはず。ほうじ茶ラテさんが、良くなっているようには見えない…」と言われていました。

ちょうどその頃、他の日系病院に、シンガポール初・日本の血液内科専門の先生が来たと、日系雑誌などの広告が出ていたので、診てもらったら?と勧められました。

減薬して1週間後の血液検査

9月28日、行きつけの日系病院に行き、2週間ぶりに血液検査を受けました。

結果は、白血球15000ほど。

ステロイド治療を始めて1週間後(9月15日)と同じくらいの数値です。期間を考えると、やはり劇的に良くなっている訳ではない…という感じです。

先生には、早い段階で帰国して、日本の専門医に診てもらった方が良いよ、というアドバイスを再度いただきました。他の日系病院に新しく入られた、日本人の血液内科の先生の話をしたら、先生は膝をポンと打って、「それイイね!すぐに予約して行って来なよ」と後押しして下さいました。

シンガポールに新しく来た、血液内科専門の先生

Iちゃんに言われて聞くことをまとめて来たメモを片手に、診察室に入りました。にこやかな、若い女の先生でした。

どこから話していいのか…と要領を得ずに、それでも怒涛のように話し始めた私。

足のかゆみの件から始まって、長い長い、私の話を、先生は質問を交え時系列を整理しながら、じっくりと聞いて下さいました。

30分くらい聞いてもらったんじゃないでしょうか…

すでにシンガポールの専門医(血液内科)にかかっているということで、セカンドオピニオンに留め、薬の処方などは出来ないけれど、という事でしたが、専門の先生に話を全て聞いてもらう事が出来て、とても心強かったです。

病院からの検査データ資料で、まだ結果が出ていないものがあったため、また日を改めて受診することになりました。

帰り際、「シンガポールの専門医で、ウェゲナー、って言われなかった?」

と聞かれました。

「ワギナですか?」と間抜けな受け答えをする私。

「ウェゲナーです…」

聞いたことのない病名でしたが、ウェゲナー肉芽腫症(現在の病名は多発血管炎性肉芽腫症)とは、血管炎症候群だそうです。

(結果的にはウェゲナーではなかったのですが、)この時、初めて具体的な病名を聞いて、自分の中の病魔の輪郭が見えてきたような気がしました。
かもしれません。

白血病?膠原病?ステロイド治療始まる③

看護師のIちゃんは毎日、息子ちゃんの幼稚園バスを送った後、私の様子を見に寄ってくれました。足のむくみ、体調などをチェックし、

①毎日体重、体温を測って記録すること

②よく噛んで、消化に良いものをバランス良く工夫して食べること

③次に病院に行った時に先生に聞く事をまとめること

など、アドバイスしてくれました。

Iちゃんもお子さんが3人もいて忙しいのに、毎日毎日チェックに来てくれて、私のメール報告に、こまめに返信もしてくれていました(涙)本当に感謝してもしきれません…。

そして1週間が経ち、いよいよ再び、血液内科のTing先生の診察を受ける日になりました。

ステロイド、また飲み間違える…

通訳のLさんと待合室で待ち合わせ。すぐに血液検査を受けると、診察室に入りました。前回、40000以上もあった白血球は、15000位にまで減っていました

「Very good」とTing先生。前回高かったアレルギー反応の数値も激減していました。

「次は、1ヶ月後に来て

え…。

「途中で何か他の症状が出たら、どうしたらいいですか?」

Ting先生は少し考えて、「日系病院の方に…」と言われました。

この時、通訳を通して、ステロイドの飲む量について、「薬は引き続き、同じで続けます」と聞いたつもりでいましたが、後から思えば、私はハッキリと把握できていなかったのです…

錠数間違え、再び…

そして、引き続きステロイドを朝晩1錠ずつ、1日2錠のトータル40mgを飲んで、体調も良く穏やかに過ごしていました。

4日目の夜でした。夜の分のステロイドを飲み終わった時、ふと、病院でもらった薬のピルケースを見ながら、

「これ…、1日2錠飲んでたら、明らかに1ヶ月も持たないよね?」

と気付きました。円筒型の小さなプラスチックのピルケースの中に、むき出しのステロイドの錠剤がざらっと入っています。そして、ラベルをよく見ると…

「1time/daily(一日一回)」

と、書いてあるではありませんか!!!(震撼)

慌てて、ピルケースのステロイド錠をザラーっと全部出して、数えました。

明らかに足りない…。1ヶ月分60錠で4日分の8錠飲んだから、52錠残っているはずが、22錠しか無い…。

そしたら、残りの日数を1日1錠で飲んでも、4錠足りない…。

シンガポールで治療継続の不安と、セカンドオピニオン

翌朝、慌ててTing先生のクリニックに電話して必死に状況を説明し(どこまで英語が通じたかは分かりませんが)、とにかく足りない分の薬を出してもらうことになりました。

4錠の薬をもらうのに、タクシーで30分です…(辛い)

外出すると改めて、まだ体力が無いと実感します。足のふくらはぎがすぐに張って来て、やっとの思いで歩きました。

体はきついですが、せっかく都心まで出て来たチャンスです。隣のビルに日系病院があるので、先に行って経過報告をしました。

先生には、ステロイド量を継続して飲み続けたこと自体は問題ないと言われ、それとは別に、私のケースは症例が無いので、「どこかの早い時点で日本に帰って血液の専門医に診てもらった方が良いよ」と言われました。

その時点では、冬休みに、娘の学校を1週間くらい前倒しで休ませて帰国するか、それでも年末年始にかかって通院が難しいかもしれないから、やっぱり春休みかなぁ…なんて、思っていました。

その後、同じビルにあるMUJIカフェで一人ランチ。魚や肉系のおかずと、サラダやおひたし系のおかずをそれぞれ頼めて、ご飯もついて12ドルでお得です。食欲もあり、むしゃむしゃ食べたいのですが、アゴの筋肉が痛い

ステロイド1日40mg→20mgに…

そして、不足分の薬をもらいにTing先生のクリニックへ。

受付で「私のミステイクで、1日1錠のところを、2錠飲んでしまっていました。」と説明したら、隣に座っていた若い方の受付嬢が、私を見て「HA–HAHA!!」と大声で笑い、そしてすぐ真顔になって目をそらしました。

今度こそ絶対に間違えないぞ!と誓い、飲む前に何度も確認し、飲んだらすぐ記録。その日からステロイド朝1錠の生活が始まりました。

しかし、このステロイド40mg→20mgという急激な減薬が、その後様々な恐ろしい症状を引き起こすのでした…。

白血病?膠原病?ステロイド治療、始まる②

ステロイド治療、始まる

帰りのタクシーの中から、娘を預かってもらっていたママ友に連絡すると、「まだ夢中で遊んでいるので…。夕方まで預からせて下さい」と…(涙)ありがたく、お言葉に甘えさせてもらいました。

そして、帰宅すると同時に、軽めに食べて、早速ステロイド20mgを一錠、飲みました。そして、ソファーに倒れこみました。

食料品の共同購入をしている友達が、我が家の分を届けに来てくれて、白血球に異常値が出たことを話すと、「白血病じゃないよね?」と泣きそうな顔をして心配してくれました。

病気になったことを拡散して欲しい

先の友人から、「ほうじ茶ラテちゃんの病状を、心配だったので〇〇さんと〇〇さんには相談したけど、他の人には絶対に話さないからね!」とメールが来ました。

いやいや、むしろ、私のこの状態を、知り合いの日本人全員に拡散して欲しいとすら思う心境でしたので、「むしろ拡散して欲しい」と話しました。

「話さないからね」「いやむしろ…」このようなやりとりは、他の人ともありました。また、これは後の話になりますが、日本に帰国してからも、身内は「出来ることなら身内に留めて、他の人には知られたくない」と言う考えでした。

しかし、病気になったこと自体は、自分の責任ではないといいますか、「悪い事をしたわけではない」と言う意味で、私の頭の中では「隠したい事ではない」と言う考えがありました。

また、日本人コミュニティは、たくさんのボランティア精神というか、助け合いの中で成り立っています。その中で、自分に免罪符がないと、後ろめたさやこう思われているんじゃないか、という思いに悩まされることになります。それくらいなら、むしろ「私はこういう病状で、色々な活動をしたくても出来ません」と、はっきり宣言して、周りに理解してもらう事が大事だと思うのです。

「ステロイドは魔法の薬」

娘はママ友のお宅で、ご厚意で夕食までご馳走になって、夜が更けてから送ってもらって帰って来ました。その頃には、全身の疲労感で立っているのがやっとでした。

状況を聞いたいろんな友達が心配して、「入院しなよ!」とメールをくれましたが、返信もできないまま、夜の分のステロイド20mgを一錠飲んで就寝しました。

そして、朝…。

「え?」身体がウソのように軽い

寝ていても痛かった腕や背中の痛みもありません

疲労感がおさまり、足のむくみやまだら模様もスッキリとしていました。

まさに、魔法にかかったよう。一夜にして症状を劇的に改善する、ステロイドの威力に驚きながらも、本当に救われた!!という思いでした。

歩けば、ふくらはぎの疲労感が若干残ってはいるものの、昨日までの辛さとは雲泥の差。本当に長年の束縛から解放されたようで、喜びと感謝でいっぱいでした。

こうして一週間、ステロイド朝晩20mg、1日トータル40㎎を飲み続け、体調はうなぎのぼりに回復しました。