視界が白く塞がれる
日本人の専門医の先生を受診して少しホッとした、2日後の、夜中でした。
その晩も、ベッドで遅くまで、愛用のMacBook Airをいじっていました。家から出ないので、買い物もオンライン注文で宅配(レッドマート)を頼むようになり、パソコンを使う時間は増えていました。
出産後は眠りが浅くて、子供の寝かし付けと一緒に眠れば夜中に起き、それ以降は睡眠導入剤がないと寝付けない状態でした。
翌日は土曜日でしたが、夜中の1時を過ぎ、さすがに寝なくてはと思ってパソコンを置き、目を閉じた時…
左のまぶたの裏の真ん中に、真っ黒い、不気味な穴のようなようなものが見えました。すごく不安が広がる感じがして、死に神の顔のようにも見えました。
そして、ドット模様(斑点)や、チカチカした星のようなものが広がり、ぐるぐると回り始めたのです。
すごくイヤ〜な予感がしたというか…怖くて、目が開けられませんでした。
恐る恐る、ゆっくり目を開いてみると…見えません
左の目が、白い、モヤ〜ッとしたもので塞がれて、見えないのです。
動揺して、心臓の鼓動が早くなります。
全く、初めての経験でした。
白い部分は完全に視野が塞がれているのですが、端っこの方に、わずかにチラチラと視界が残っているような状態でした。初期のパソコンの、ホームページ画面を表示するときのような感じでしょうか…(分かりにくい?)
動揺を抑えながら、洗面所で目を洗ったら、まぶたの裏がギュウゥーッとなって、グレーの絵の具が広がるような感じがしました。ますます恐怖感が募って、慌てて中止。直感的に、コンタクト用の目薬で、洗ってみることにしました。
そして…数十秒後には、ぼんやりと視界が戻り始め、5分後には、完全にクリアになりました。
翌日の朝、日系病院に行き、眼底検査や視力などの検査を受けました。
念のために、とアレルギーの点眼薬を出してもらいました。
眼球そのものには異常はなさそうとのことでしたが、専門医に診てもらったほうがいいと言われ、別院にある眼科の予約を取ってもらいました。その日は土曜日だったので、週明けに改めて眼科に行くことになりました。
そして、その夜…
また、あのイヤ〜な感覚が…
恐る恐る目を開けると、再び、左目の視界が、白く塞がれていました(怖)
動揺を抑えながら、日系病院で出してもらったアレルギーの点眼薬をさしたら、また視界がギューっとグレーに…慌てて中止。
コンタクト用の目薬をさしたら、不思議と視界が戻りました。
翌日の日曜日、看護師Iちゃんにメール。彼女はとても心配してくれて、週明けの眼科を待たずに、救急に行く選択肢もあるよ、と言ってくれました。
迷いましたが、その言葉に後押しされ、夫と娘と共に、タクシーで都心の救急病院に向かいました。
日曜の夜の救急
到着した時は、夕方遅くになっていました。夫と娘には近くのレストランに行っていてもらって、私は救急へ。
日本の保険でキャッシュレスになるんだ〜前に行った他の病院ではならなかったなぁ…などと思いながら書類を記入。
待合室で座っていても、背中の筋肉が痛い…。
やっと呼ばれても、ボーッとしてると自分の名前か一瞬分からない(発音が独特なので、笑)。とりあえず問診。英語でなんとか伝える。
問診を受けて待合に戻ると、いい椅子が取られちゃってたりする。辛いですね…
いや、みんな辛いんだけど、家族総動員で付き添いに来てる人たちも多くて(涙)
さらに待つと、メガネの肝っ玉かあさんのようなキャラの看護師さんに呼ばれ、ざっくり視力検査。救急の臨時ベッドのようなところに寝るように言われ、点眼されました。「また何分かしたらくるから、その間ずっと目を押さえてるのよ」と言って去る看護師さん。
その間、別のベッドから聞こえてくる、子供の泣き叫ぶ声…。
足を折ったのかな…。
本当に痛そうで、聞いている方も辛いことこの上ない。この程度のことで救急に来てベッドまで使って申し訳ありません…という気持ちになりました。
さらに2度目の点眼が終わり、待合室で待つこと小一時間。ようやく診察室へ。
眼底検査のほか、いろいろな検査をして、眼球をよく調べてもらいました。
が、やはり眼球自体に異常はないとのこと。
緊急性はないが、網膜のガンなどである可能性を検査するので、週明けにその先生のクリニックに来るようにと言われました。
兎にも角にも、診てもらえてホッとしたのと、原因が判らない不安感とで、複雑な思いでした。
でも、この時は意外と英語が通じて、ちょっと嬉しくもあった呑気な私でした…
会計の時、先のメガネの肝っ玉かあさんが、「Can you see~~??(見えてる〜〜??)」とおどけて手を振っていました。
緊迫した雰囲気の救急の場に、長時間身を置いて過ごしながら、患者にこういう対応が出来る余裕というかタフさって、すごいよなぁ…と、心から感心しました。こういうところが、良くも悪くも、シンガポールと日本の文化の違いなんだなぁ。