検便用の便が、固くてとれない…

検便キットと、検痰用の容器などが届けられていましたが、入院前から便秘気味だったわたし。なかなかサンプルがとれず、焦るばかりで時間が過ぎて行きました。

ウォシュレットで誘発して、固〜いウサギのフンの大きいバージョンをなんとか排便…。

ブドウ状に連なったものが、ギュウギュウにプレスされています。

しかし、ホッとしたのもつかの間。

固すぎてサンプルがとれない!

採取する器具は、検査キットの、耳かきみたいな細〜いスプーン。これでは折れそう…。

しかも、格闘するうち空気にさらされて、ますます固くなる便…。

カツオブシかっ!!

なんとか削り取り、そのまま検査キットに挿入して終了。

こう言う時、個室で良かった…と思いました(汗)

しかし、キットは2個あったのでした…(目まい)

痰が出ないんですけど…

痰検査。これも、キットが2個あります(泣)

シンガポールでも、心膜炎になった時やったことありました。その時は、咳がずっと続いていて、肺がゼイゼイだったので、朝起きた時などは必ず痰が出ていたんです。その時の検査で、おたふく風邪のウィルスが出たんで、ウィルス性心膜炎だと診断されたのですが…

今回、咳は出ていません。症状がない時って、痰は出ないですよね(笑)

なので、仕方なく、一つのキットに唾液を出します。

そうしたらその後やって来た看護師さんが、「さらっさらですね〜いっぱいあるから、二つに分けておきますね〜

と、持って行ってくれました(笑)

唾液検査

それとは別に、唾液検査というのもありました。

結果的に私の場合、痰検査と同じになってしまいましたが(笑)

研修医の先生が来て、「ガムを噛んでください。」と、ガムをくれました。

わーい、ガムだー♪と、大喜び。

「10分間くらい噛んで、たまった唾液をこの容器に入れてください。唾液は飲まないようにしてくださいね

検査用のガムなんでしょうが、昔懐かしいいわゆる板ガムの形で、味も美味しく、ウキウキでかみ始めました。

しかし間もなく、つばが溜まって来ます。

飲み込まないようにすると、溢れ出そうになります。

10分て、キツいなぁ…

ちょ〜っとずつは喉の奥に入って行きましたが、なんとか持ちこたえます。

もう限界!

ってところまで来て、飲み込まないように慌てて容器に吐き出しました。

サンプル採れたから、大体でいいかなぁ…

初めての事だと、小さな検査にもドギマギしますねぇ。


脳CT、呼吸器検査、マンモグラフィなど検査三昧

翌日から、他に潜んでいる病気の可能性を潰していくために、レントゲンや心電図、呼吸器検査、眼科検診、体の部位のCT、脳CT、など、検査が続きました。

どれも異常なし。

婦人科検診もします。マンモグラフィも、初めて受けました。

これも異常なし。

異常がなくて良かったのですが、マンモグラフィの、ショボい胸のシルエット画像を見て、テンションが下がりましたね…(笑)

先生に、画像を見ながら「ほうじ茶ラテさんはさぁ、なんでこの検査を受けたの?」と聞かれ、戸惑うわたし。「いま膠原病内科に入院中で、他の病気の可能性がないかどうか、色々検査を受けているんです…」「ふーん。」

大きな病院では、自分で、イチから根気よく、説明していく気概がないと、入院生活は乗り切れないんだなぁと、だんだん分かってきました。

激しい胃痛と、吐き気との闘い

入院二日目にして、天国から地獄へ

病棟に戻ると、胃痛がまた激しくなり、ベッドにうつ伏せになったまま、トイレとの往復でした。

そこへ、先ほどの頭痛薬を持ってきた看護師さんが、ノックして入ってきました。

「ほうじ茶ラテさん、担当医と連絡が取れて、お預かりしている胃薬を飲んでいいという事でしたので、お持ちしました!」

と、預けていた胃薬のストロカインと、白い粉薬のアルサルミンを持ってきてくれました。アルサルミンは、胃粘膜を保護するお薬です。

うーーん。今、このタイミングで胃粘膜を保護しても、多分吐いちゃうよなぁ…

しかし、医療従事者のしてくれる事を、このタイミングで断るほどの確信が、入院したての私にはまだありません。

気が進まないながらも、アルサルミンを飲む私。こういう時の粉薬って、キツイです。

うう…

程なく、襲いかかる吐き気。

トイレに駆け込み、便器を見ると、ザバーッと全部吐いてしまいました。白い粉薬が、そのまま出てきました。

ナースコール。みぞおちも、胃の裏側(背中)も痛くて、どうにもなりません。駆けつけた看護師さんも、泣きそうになりながら背中をさすってくれますが、どうする事も出来ません。

その後も担当医と連絡を取ってくださり、預けてある薬のうち、ストロカイン(胃痛を吐き気を抑える薬)は何度でも飲んでいいと言われました。が、ちょっとでも胃に何か入るとまた吐きそうなので、飲めそうにありません。

ようやく吐き気が落ち着いてきたのは、夕方遅くなってからでした。

病院の夕食は、18時から。とても、食べられそうにありません。

でも薬を飲まなければいけないので、少しはお腹に入れたほうがいいのかな。

その日の夕食は、焼き魚とお味噌汁。

恐る恐る、お味噌汁をすすります。美味しい…

お魚も、身をほぐして、少しだけ頂きました。

ご飯は、今日はやめておきます。

上向いてきた体調、ただし胃痛の不安は続く…

翌朝、前日の胃痛や吐き気が嘘のように治り、体調が早くもノーマルモードの私。精神状態もノーマルに戻りました。

週明けで戻ってきた担当の先生に、「吐いちゃったんですって?」と聞かれ、「ハイそうなんです…」と答えつつ、どこまで症状の異常な感じ、深刻さを訴えられたか…。多分、この時は、そこまでの深刻さを訴え切れていなかったのではなかったかと思います。

「あの先生、ネキシウム(胃薬)を、シンガポールでは40ミリ飲んでいたんですけど、それが日本では20ミリになって、胃痛がひどく出ちゃったので…。多分ネキシウムが足りないんだと思うんですけど、40ミリに戻してもらうことって出来ますか?」

すると先生はその時、「チームの先生たちに確認してきます」と言ってくれたのですが、次の問診では、

「日本の処方では20ミリがマックスなんです」

と言われ、結局ネキシウムの量を元に戻してもらう事は出来ませんでした

前日に胃痛が出た時に、

「シンガポールではネキシウムを40ミリ飲んでいて、入院してから今までの半量になったんです」と、看護師さんにも訴えたのですが、看護師さんは、

「あ〜、その量で慣れちゃってるとねぇ…

と言っていたので、そのうち、体が20ミリに慣れてくるっていう事なのかな…?

その後も、体調は回復しつつも、食後の胃痛に怯える日々が続きます。

そして、この2週間後に小腸に穴が空いている(小腸穿孔)と判明、緊急手術を受けることとなるのです。

つい、イライラ…

もともと早食いの私。反省、猛省です。

運ばれてきた食事を、ゆっくり、ゆっくりと、すり潰すようにして食べます。

…が、それでも早いんだと思います。食欲があると、20回も噛んでいられません。

食事が終わると、食後のお薬…。ですが、それは私だけでなく入院患者さん皆さんそうなので、看護師さんたちも忙しい。

それで、食後一時間以上が経っても、お薬が来ないなんて事はありました。

ただでさえ胃薬が足りないのに、このタイミングでステロイドを飲んだら、また胃痛が出てしまうかも…

そんな不安から、つい、イライラしてしまいます。

お膳を下げに来た看護師さんに、すかさず、

「すみません。お薬、持って来て頂けますか」と声をかけます。

「準備ができたらお持ちしますので、順番にお待ちください」

すぐには来て頂けません。やがて胃痛が、またみぞおち辺りに、鈍く出て来ます。

ナースコール。慌ててお薬を持ってきてくれた看護師さんの表情を見ると、私のイライラは顔に出ていたのだと思います。

余談ですが、病院の売店では、アンガーマネジメントの本や雑誌の特集があると、よく売れているようでした。

やはり、他の入院患者さんも、入院生活の中で不満やイライラを抱えていて、様々な怒りを抑えるのに必死なんだな、と感じました。

見落とされがちな「患者側の視点」

退院後のことです。入院中の話をしたところ、母から「ふーん。看護師さんも大変だねぇ」と言われたことがあります。

正直、カチンときました。なので、つい「だって看護師さんはそれがお仕事でしょう」と、言ってしまいました。

もちろん語るまでもなく、看護師さんは超多忙、体力気力ともに大変なお仕事です。入院中何度「ありがとうございます」と感謝の言葉を口にしたかわかりません。

でも、それ(看護師さんが大変な尊いお仕事)って、改めて私個人のエピソードの中で語るまでもなく、皆んな分かってる事、共通認識ですよね。

あえて言いますが、患者も大変なんですよ。

そして、大変なんだって、周りにあんまり言えないものです。(そりゃ人にもよりますが…)

排泄などのプライバシーを人様にさらさなければならないストレス、生活環境が制約されているストレス…

個人的に、「入院して楽してる」って思われることもかなり辛く、ストレスになりました。

詳しくは後述しますが、入院で全ての環境が変わるというのは、こんなにもストレスがかかる事なのかと、私自身、入院して初めて知った事です。



日本処方だと胃薬が半量に??足りない!!


個室に入院したものの、担当の先生、研修の先生、看護師さん、清掃の方、などがノックと同時にひっきりなしに入って来ます。

ベッドに腰掛けて、ノックが聞こえたらハイと言い、笑顔で対応。

昼間からベッドに横たわるのも落ち着かず、誰がいつ入って来てもいいように、緊張して過ごしていました。

担当の先生は、想像していたよりずっと若い先生でした。20代半ばくらいに見え、一緒に来た研修医の先生も同じくらいでしょうか。膠原病内科の医療チームで診てくださるとのこと。

好酸球性多発血管炎性肉芽種症の疑い

先生たちに、足の異常なかゆみから始まって、足がひざ下までパンパンに腫れて水泡ができたこと、その時は蜂窩織炎(ほうかしきえん)と言われたこと、血液検査の異常値、こめかみのコブ(血管?が一時的に膨れ上がったこと)、食後の胃痛、食事の時アゴが痛くて噛めない、筋肉痛と歩行難、そして、シンガポールでステロイドを40ミリ→20ミリに急に減らされてから、左目に起きた視野異常(一時的に何度も、白く塞がれたこと)、足のしびれなど、外来でも話した長い長い経緯をお話ししました。シンガポールの病院からもらった血液検査結果などの膨大なデータを(外来受診の時にも既に提出していましたが)ここでもお渡しします。

そして、その日のうちに、好酸球性多発血管炎性肉芽種症の疑いと診断されたのでした。

いつの間にか消えていた、胆のうの石

シンガポールでエコー検査をした時に、胆嚢(たんのう)に石があると言われていたので、その話もしたところ、「あ、胆のうの石は、無くなってましたよ」と言われてビックリ。

ステロイドを減らされてから様々な症状が出たので、看護師の友人のアドバイスもあって、血管や神経?が詰まらないようにと、水分を意識的にたくさん摂っていたから、自然に流れ出たのでしょうか??食事も一度にたくさん摂れないので、否応無くヘルシー寄りになっていたからでしょうか。よく分かりません。

でも、とりあえず良かった!

病院食に感激

入院は、出産以外では初めての経験でした。出産の時は、健康体なので、病院食とはいえ美味しく頂ける普通食でしたが、今回はどうなんだろう。

「ほうじ茶ラテさん。お名前フルネームと、生年月日お願いします」

ノックとともに、トレイが運ばれて来ます。メインの鶏肉のレモン煮に、ご飯とお味噌汁、おからの和え物。めっちゃ、美味しそう!!

海外から帰国したものにとっては、嬉しい貴重な和食!その上、味付けも塩分を摂り過ぎないよう工夫されつつ、しっかり繊細に仕上がっていて、とっても美味しい夕食でした。

嬉しくて、美味しくて、夢中でパクパクと平らげました。

見ると、翌週の分の献立表が挟まれてました。私は、「常食(普通食)」扱いだったので、メニューの中から、AかBか、献立を選択することができました

それから、夜の分のお薬を飲みましたが、その日は胃痛も全く出ませんでした

地下の売店に行き、ハンドソープ(個室の洗面台には付いていません)、シャンプーとリンスなど購入。

まるでホテルに一泊したかのような、幸せなひと時でした。

朝食、パン食でテンションが下がる

翌朝、早朝からアドレナリンが出ていて体調も良く、早速、地下の売店で足りない身の回り品ショッピング。

まずは携帯の充電器、靴下、カミソリ、毛抜き、院内用スリッパなどなど…

院内用スリッパは、転倒防止のため、かかとまでしっかりINするタイプ。

その日は、母と姉と、7歳の娘に面会に来てもらうことになっていて、靴下や下着、コップなど、身の回り品も少しお願いしていました。

そして、朝食は8時。今日の朝ごはんはパン食でした。わぁ、嬉しい!と思いましたが…

何でも好き嫌いなく食べる私からしても、パンのお味は、イマイチ…というか、パックした食パンをレンジで加熱するタイプのためか、お世辞にも美味しいとはいえません。もちろん、いちいち焼いているわけにはいきませんから、それは仕方ないとは思います。白い部分はふにゃふにゃ、周りの耳はかたく、アゴが痛くなる私にはハードル高め。パンが不味いって、あまり経験ありませんでしたが、巷の食パンよりもお味もイマイチなのに関しては、カロリー制限などでヘルシー仕様になっているためもあるのでしょうか?よく分かりません。

このパンに関しては、後述もしますが、献立表で「パン」とあるとテンションが下がるというものになってしまいました。入院していた他の皆さんも同じだったようで、パンの日に、下げた食器がロビーにあるのを見かけると、大半を残しているような方が目立ちました(私も、耳だけは残していました。)

もったいないことだとは思います。ただ、体調との兼ね合いもあるので、やはり美味しく頂けないものを、無理して食べる訳にはいきません。

とはいえ、初日の私は元気だったので、このパン食も平らげてしまいました。

そして、食後の薬の時間がやって来ました。


胃薬が足りない!!

その時点では、私は、ステロイド(プレドニゾロン)40ミリと、カリニーという肺炎予防薬、そしてネキシウムという胃薬40ミリを飲んでいました。

外来の時に胃薬、ネキシウム40ミリは多い!と言われ、「日本処方では、20ミリがマックスなんです。半分に割って使うか、日本処方の20ミリを使って下さいね」と言われていたのですが、胃痛に悩まされていた私には、胃薬を減らすなんて、とんでも無いこと、恐ろしいことでした。

朝食後、1時間ほどたってから看護師さんがお薬を持って来てくれました。

ステロイド(プレドニゾロン)40ミリに対して、胃薬(ネキシウム)20ミリ…

胃薬が、いつもの半量…。これで、胃痛が出ないで済むのかな??

不安に思いながら過ごしていると、だんだん、右のみぞおち付近に例の感覚が…

ああ、また…。

体に力が入らなくなり、手で右のみぞおち部分を抑えたまま、ベッドにうつ伏せになります。鈍痛が、おさまらず、少し吐き気もします。でも、この時はまだ、「いつもの症状だ、そのうち治まる」と思っていました。

看護師さんが来て、「シャワーは昼食の後でいいですか?」と聞かれました。正直、キツイな…と思ったのですが、家族と2時に面会する予定だったので、ハイ、お願いします。と答えました。

その日はあいにくの、雨。雨の中を子供連れで、電車で1時間もかけて来てもらうのは、今から考えても申し訳がなかったです。子供は病棟に入れないので、病棟外のスターバックスで待ち合わせしていました。

そのうち、昼食が運ばれて来ました。

胃痛、激しい嘔吐、初めてのナースコール

運ばれて来たお昼ご飯を見ても、全く食欲が湧きませんでした。

が、昨夜の夕食が美味しかった良いイメージがあったのと、出されたものは頂いてしまう、食い意地根性のようなものがあり、恐る恐る口に運びながら、なんだかんだで7〜8割ほど食べてしまったのです。

本当にバカでした。食べている途中から、胃とみぞおちに違和感が起こり、さすがに箸を置きました。

胃痛は、いつもの鈍痛に加えて倦怠感も激しく、少し吐き気を伴うものでした。

しかし、1時にシャワーに呼ばれ、バスマットと替えのパジャマとタオル、そして「使用中(空室)」のふだ(←後述しますが、このふだ、必要ないと思うんですよね〜)を受け取りました。2時に面会なので、慌ててシャワーに向かいます。

初めての、共用シャワールーム。バスマットや「使用中ふだ」の取り扱いに戸惑い、モタモタします。シャワールームには、腰かける椅子もありません。入院患者でなくても、高齢者が多い中、これは結構過酷な環境じゃないでしょうか…。シャワーを浴びるうち、だんだん、倦怠感がひどくなって来ました。

急いでシャワールームから上がり、やっとの思いで着替えると、髪も乾かさないままに、ベットに横たわりました。

もうすぐ、家族が面会に来るのに、どうしよう…。

子供は病棟に入れないので、病棟外のスターバックスで待ち合わせしていました。着替えてお化粧もして、元気な姿を見せたかったのに。

初めてのナースコール。「ナースコールは、押していいんだからね!」という元看護師の友人の言葉が後押しします。

「胃痛がひどいのですが、お預けしている胃薬をいただけますか?」

私は、胃痛がひどい時には、ネキシウム以外にも、シンガポールの病院からもらった胃薬(ストロカインという、胃痛や吐き気に効く薬と、アルサルミンという胃粘膜保護薬)を使っていて、全てナースステーションに預けてありました。

しかし、やって来た看護師さんの言葉は、意外なものでした。

担当医の許可が出ませんので、胃薬を、今お出しすることは出来ないんです」

その日は日曜日だったのです。

そして看護師さんがベッドに腰掛けて問診。「胃が痛い感じですか?」「右のみぞおち付近が、ずっと押さえていたい様な感じなのと、あと、胃の裏側というか、背中も痛いです」

何か、もどかしくてイライラして、いつも人様の前では取り繕っている自分から豹変しそうです。

看護師さんは一度ナースステーションに戻ると、カロナールという頭痛薬(鎮痛剤)を持って来てくれました。

実はシンガポールで胃痛、胃もたれ症状が常態化してから、胃に負担がかかるのが怖くて、なるべく頭痛薬は飲まないようにしていました。なので、ここに来て頭痛薬を口にするのは抵抗がありましたが、病院のすることだし…と、飲んでしまったのです。

ううう…

間も無く、激しい吐き気に襲われました

トイレに駆け込み、胃のひっくり返るような激しい嘔吐を、何度も繰り返しました。いつ、次の吐き気が襲って来るかわからず、病室を出ることが出来ません。

姉に、メールをしました。

「処置があって、すぐに行くことが出来ないので、2、30分待ってもらえるかな?ごめんね」

先ほどの昼食は、当然全てもどしてしまいました。最後に胃壁に張り付いていたであろうご飯粒の一粒まで吐き切ると、さらに吐き気が襲って黄色い汁を吐きます。吐くものがなくなってもえづき続け、胃が裏返るんじゃないかと思いました。少し吐き気が落ち着いたところで、再びナースコールをすると、家族と面会があるので、10分ほど出て来ますと伝えました。

家族と、5分間の面会

母と姉、そして娘が、ロビー内のスターバックスで待っていました。いつもは明るいロビーですが、その日はあいにくの雨で薄暗く、寒々としていました。

パジャマにすっぴん、薄物を羽織って到着した私。

髪型、似合うね。と言ってくれる家族。精いっぱい取り繕って笑顔で答える私。娘も、ママ〜!とニコニコしています。娘は髪を母に編んでもらったようで、いつもと少し違って見えます。ひときわ、可愛く見えました。

姉は、私への伝言や確認したいことをメモして来ていて、早口でいろいろなことを伝えてくれます。娘の学校のこと、予防接種のことなど…、

今だけ、今だけ、何とか持って…

私は取り繕っていましたが、だんだんと気分が悪くなって、耐えられなくなって来ました。

私の顔をじっと見つめていた母が、「もう、戻ったほうがいい」と、言ってくれました。

母親って、さすがだな…と思います。

「ちょっと薬の処方が変わったせいか、胃薬が足りなくて、体調が悪くなったの。戻るね、ごめんね…ありがとう」と言って、持って来てもらった下着や靴下などを受け取り、娘の頭を撫でて、病室に戻りました。

娘は、バイバーイ!と元気に手を振ります。たった、10分弱の面会でした。

母が、病院に来てくれたのは、これが最後になりました。