当時、娘は3歳。入園予定の幼稚園をキャンセルしての移住でした。
移住を決めてから出国までの2週間、何をどうして良いのかわからずに、子育て仲間との送別や、日々の子育てに追われていた結果…
最後の2日間は、娘を臨時託児所に放り込み、荷造りと片付けに追われ、夜はビジネスホテルに泊り込み、徹夜で洗濯と伝票書き。食事も睡眠もまともにとれないほどの修羅場になりました(汗)
そして、出国する日の朝。引き払うはずのマンションの部屋はまるで片付かず、船便と航空便のダンボールが雑多に混じり合いゴッチャゴチャ。まさにカオス。追い詰められた私は、生まれて初めて「片付け屋」さんに電話。
鍵を受け取りに来た大家さんに諭されている最中、ゆうパックのお兄さんと片付け屋さんご一行が到着。あれよあれよという間に、ガタイの良いお兄さん方が、一切合切を持って行ってくれて、ガランとした部屋が残りました。
しかし、喜んだのもつかの間。ポツンと残ったケーブルテレビのモデムをどうして良いかわからない!!とりあえず引き抜いて、バッグに放り込み、そのまま空港へ。
着の身着のまま娘を連れて、乗り込んだ空港行きの列車。何日もまともに寝ていなかった私は、4人掛けの席に座ると、娘と共に眠り込んでしまいました。
気がつくと、押さえていたはずのスーツケースがありません。
見ると、タイヤが転がって通路をさすらっている私のスーツケースが…そこそこ混んでいた車内、大迷惑です。
不意に、4人掛けの向かいに座っていたおじさんが立ち上がると、人越しにスーツケースを持ち上げて、自分の足の間に挟み込んで押さえてくれました。
恐縮してお礼を言うと、いやいや、と、本当に慈悲深い瞳で気の毒そうに微笑んでくださいました。
よほど可哀想な母子に見えたのでしょう。人の優しさが痛み入りました…
降りるときにも手伝ってくださり、優しい笑顔をいただきました。
それが、私のその時に見た、大阪の最後の印象です。この大阪を、日本を、離れるのは辛いな…と思いました。本当にありがとうございます。
そして夜中の関西国際空港。どうやって搭乗できたのか、記憶が曖昧です。シンガポール航空のCAさんの目の覚めるような美しさと、チャンギ空港に降り立った時の、ムワ〜ッとした空気は忘れられません。